私の医学部編入試験の勉強内容

私自身、受験にあたって過去の合格者の勉強方法や使用した教材が大変参考となり、自身の励みにもなった。私が模索してきた勉強方法も、これから医学部編入を目指す方々に少しでも参考になればと思い、公開させて頂く。

1. 受験サマリー

2016年は仕事をしながら大阪大学のみ受験し、2次試験であと9点最低合格点に足らずに敗退した。
2017年は勉強に専念するため、試験日程の開始前に仕事を辞め(試験日程が始まる1ヶ月前に有給消化を開始)、受験した4大学中3校から合格を頂いた。(岡山大学からは11月頃に追加合格の連絡を頂いた。)
■2016年受験校

受験大学 1次試験 2次試験
大阪大学 ○(筆記) ×(小論・面接)

■2017年受験校

受験大学 1次試験 2次試験
鹿児島大学 ○(筆記) ○(面接)
東京医科歯科大学 ○(筆記) ○(GD・面接)
岡山大学 ○(書類審査) ×(筆記・面接)(11月追加合格)
大阪大学 ○(筆記) ○(小論・面接)

2. 勉強内容サマリー

■2016年の受験勉強
2016年の受験は、約半年前の1月から勉強を開始したが、仕事で一切平日に勉強時間が取れなかったため、週末もしくは連休をほぼ全て勉強に当てた。1次試験前の2週間だけ休暇をもらい勉強に専念した。そのため、こちらのブログに記載の通り、精神的にきつい期間であった。

2016年 勉強時間 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
生命科学 30h 30h 30h 30h 50h 40h 25h 235h
物理 10h 40h 25h 75h
化学 10h 40h 25h 75h
英語 10h 10h 20h
小論対策 15h 15h

※勉強時間は振り返っての感覚値です。
■2017年の受験勉強
2017年の受験は、3月から本格的に開始した。5月下旬より有給消化に入り勉強に専念できる体勢となったことと、1年目に生命科学を一通り勉強していたことから、1年目よりは計画的に前倒しで勉強を進めることができた。

2017年 勉強時間 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月
生命科学 10h 10h 20h 20h 30h 30h 20h 140h
物理 20h 40h 40h 20h 120h
化学 20h 30h 50h 60h 20h 180h
英語 40h 30h 10h 80h
数学 10h 10h 10h 10h 5h 45h
小論対策 15h 15h

■参考)受験勉強開始前の前提知識
・生命科学: 高校生物は選択しておらず、真っさらな状態からスタート。
・物理: 大学にて、力学・熱力学・電磁気学・振動波動の基礎を履修済み。
・化学: 大学にて、量子化学・構造化学の基礎を履修済み。
・英語: TOEIC 900点前後の基礎あり。
・数学: 大学にて、微積・微分方程式・線形代数等を履修済み。

3. 各教科の勉強方法

編入試験の出題範囲やレベルは毎年大きく変わるため、下記の推奨度はあくまで参考として頂き、勉強の範囲と深さは各個人の受験戦略に従って判断してほしい。

■生命科学

1年目は、効率的に受験勉強を進めるため、それなりの金額をKALSに投資し、KALSの教材に専念して勉強した。基本的に編入試験の生命科学は、KALSの講義範囲でカバーできると思われる。また、基礎医学は勉強の深さにキリがないため、初学者はどこまで勉強すればいいのか見えにくく、時間のロスに繋がりやすい。KALSの講義は、講師が元東大医学部の教授の方であり、編入試験の出題の深さをわかっているだけでなく、時事ネタや冗談を挟んで面白おかしく講義を進めてくれるため、e-learningやDVDでも飽きずに視聴することができる。そのため、基礎医学の勉強に興味を持たせてくれ、その後の医学部入学後の勉強にも通づるため、お金をかけた価値はあったと感じている。
工夫した点として、自分は右脳記憶(イメージでの記憶)が強かったことから、まず生理学入門を勉強し生体の全体感を掴めたことが効果的であった。それによりKALSの講義の各論の位置付けがより明確になった。
2年目は、1年目で学んだ知識を定着させつつ、専門書や演習でより裾野を広げていくことを主眼とした。具体的には、イラストレーティッドシリーズの専門書を寝る前や勉強の息抜きとして読み、1年目に作成した暗記帳に覚えることを加えていった。試験直前期は、KALSの講義内容の復習に徹した。
生命科学は、受験生の多くがKALSの講義を受けており差別化しにくい分、基本事項の確実な暗記が必須である。プラスアルファの知識が点数アップに繋がるが、広大な範囲から当たりをつけるのは難しい。複数教科ある大学においては、生命科学に目が行き過ぎて、生命科学以外の教科で命運が分かれることも多い。従って、基本事項の定着に留めてあまり時間を掛け過ぎないのが基本的な受験戦略だと思われる。

使用した教材 レベル 推奨度 コメント
KALS生命科学 完成 M 勉強すべき深さがわからない初学者にとっては、KALSの講義は効率的に学ぶ素晴らしいガイドである。
KALS生命科学 実践 H 阪大・医科歯科の受験生にとっては、実践のレベルが頭に入っていることが当然のラインだと思われる。
KALS生命科学 要項集 H 編入試験のレベルに必要な事項が網羅されているため、最後の復習に力を発揮する。分厚く索引がないが、私は2冊目を電子書籍化することによって、簡単に該当箇所を見つたり、持ち運びに困らなくなった。中古本が出回っているという噂も。
KALSトップレベル生命科学テストゼミ H 実験考察力を鍛える講師選りすぐりの良問が揃えられている。私は直前に自身で演習したが、ライブで緊迫感持って受けるのがベターであろう。
基礎から学ぶ生物学・細胞生物学 第3版 M 基礎レベルであるが、編入範囲にマッチしており、明瞭かつ適度な解説とイラストがついている。生命科学の未学習者の導入用として推奨する。
いちばんやさしい生理学 L  ○ 生命科学を勉強する前提知識として、生理学の基礎知識を頭に入れておくことをお勧めする。生体・生理全体のイメージを持っておくことで、生命科学の議論が理解しやすくなった。
Essential細胞生物学〈DVD付〉原書第3版 VH 編入試験のレベルを大きく超えるため、他の参考書でわからない点を参照する程度でほとんど使用しなかった。本書を使って勉強された過去の合格者が信じられない。
イラストレイテッド細胞分子生物学 (リッピンコットシリーズ) H 上記の参考書と範囲が重複するが、イラストレイテッドシリーズはイラストや写真、臨床応用の記述が豊富であり、他の専門書より楽しく読み進めることができた。本シリーズの中では、生理学と生化学がお勧めであり、学習事項の枝葉を広げて行くことができる。
イラストレイテッド 生理学 (リッピンコットシリーズ) VH
イラストレイテッド生化学 原書6版 (リッピンコットシリーズ) VH
休み時間の免疫学 第2版 (休み時間シリーズ) H これまでの参考書では断片的な免疫学の知識を網羅的に学ぶことができる。免疫学は出題されない大学が多いため、本書一冊をカバーしておく程度で十分だと思われる。

※レベル:阪大・医科歯科の出題難易度をベースに、私の所感にて以下の分類にて記載した
・L:当然知っているべき前提知識レベル
・M:阪大・医科歯科編入試験の基本問題レベル
・H:阪大・医科歯科編入試験の難問に対応するレベル
・VH:編入試験の出題範囲を超えるレベル

■化学

1年目は、勉強時間が限られていたことから、KALSの阪大対策と有機化学を中心に勉強した。加えて、網羅的な基本の理解が必要な物理化学、量子化学はそれぞれ下記の参考書で補った。有機化学未履修の者にとっては、KALSの講義は導入として適度なレベルであった。しかし有機化学においては、阪大では毎年大学院入試レベルの反応が出題されていたことから、KALSの講義だけでは不十分であり、下記参考書での演習が必要だと思われる。
反省点として、化学が一番点数差がつく科目であったにも関わらず、生命科学に注力しすぎたせいで、化学で大幅に手数を取り損ねてしまった。例えば、物理化学の有機結晶、化学ポテンシャルなど、基本を理解し一度解いたことがないと解けないレベルの問題が多く、化学・物理の出来がこの年の合否の命運を分けたのは間違いない。
2年目は、その反省を生かして、化学に最も時間をかけた。特に有機化学と物理化学はイメージ記憶しやすい分野のため、早い時期に着手した。結果的に、広大な化学の試験範囲全てを勉強し切ることはできなかったが、地道な積み上げにより、解けるべき問題、差がつく問題、ほとんど解けない問題を見極められる程の自信を持って臨むことができた。
2017年の問題はやや出題傾向が異なり、誰でも解けるような基礎問題が多数出題されたため、少し憤りを覚えたが。。
物理化学・無機化学は、直前まで多くの参考書をあたったが、編入試験の範囲を網羅しつつ適度なレベルの参考書にたどり着くことができなかったため、下記に拘らずに探して頂きたい。

使用した教材 レベル 推奨度 コメント
KALS阪大化学対策 H 過去問ベースの演習であり、早めに着手することで勉強すべき範囲が明確になる。
KALS有機化学 M 初学者には導入としておすすめ。しかし自学で勉強できないこともないレベルの演習であった。
有機化学演習―基本から大学院入試まで H  過去の合格者の多くが使用している参考書であり、これを数回回せば阪大で出てくる有機化学反応には対応できると思われる。
演習 有機化学 (セミナーライブラリ化学) H 上に出てこない反応もあり参考となったが、体系網羅的になっておらず、結局途中でやめ、上の演習書に落ち着いていった。
ブルース有機化学 (第5版)[上
ブルース有機化学〈下〉
VH 大変読みやすく、分光法の章が参考になった。しかし全てを勉強し切るには、いくら時間があっても足りないため、不明点を参照する程度の利用の仕方に落ち着いた。なお、私は最新版でなく旧版(第5版)の中古本を使用した。
フレンドリー物理化学 M 基礎が体系立って分かりやすく記述されているため、入門書としては推奨。ただし、本書ではカバーされていない物理化学の分野や重要演習問題があるため、十分ではない。
演習 物理化学 (セミナーライブラリ 化学) M 勉強すべき要点が掴みにくく、途中で挫折した。
単位が取れる物理化学ノート (KS単位が取れるシリーズ) M 入門書として推奨。ただし、阪大対策には演習が不十分。
物理化学演習 (化学入門コース/演習 (1)) M 大学1, 2年を対象とした編入試験に適度なレベルの演習書であり、要点を押さえた良問が選定されているため、推奨する。特に熱力学のマクスウェルの式はこの参考書でようやく理解できた。
アトキンス 物理化学要論 (第6版) VH 不明点の参照用として利用するに留まった。
単位が取れる量子化学ノート (KS単位が取れるシリーズ) H 過去の合格者の多くが読んでいるだけあって、大変わかりやすく要点を押さえた参考書であった。量子化学はこの本と過去問演習で十分だと思う。
演習無機化学 第2版 VH 配位化学(錯体など)と固体化学(結晶格子論など)の学習に本書を利用した。十分に選びきれなかったため、他にも良い参考書があるかもしれない。
■物理

大学で大半の範囲を履修していたため、1年目は直前期に入門書での基本事項と基本問題の復習に留めた。熱力学が数年出ていなかったことから、ヤマを張って力を入れて勉強していたら、運よく半分が熱力学の出題であった。
反省点として、頭に微分方程式を解かせる問題があり、解けそうで解けず大幅に時間をロスしてしまった。数学や微積の基礎を復習する時間が取れなかったこと、試験演習での時間配分に慣れていなかったことが失敗であった。
2年目はその反省を生かし、物理の勉強の前に微積と微分方程式、線形代数の復習を行った。そのため連成振動の微分行列式であろうと怖がらずに取り組めるようになった。また、2年目は各分野をサイエンス社の演習書レベルの問題で深めることと、振動・波動の勉強を追加した。
結果的に、2017年は振り子の運動に関する極座標での運動方程式と振動・波動であり、いずれも演習できていなかったところが突かれ、点数を稼ぎ損ねたが部分点を獲得できたと思われる。例年同様、基礎を正しく理解しているかどうかで、大きく点数差が広がる良問であったと感じた。

使用した教材 レベル 推奨度 コメント
弱点克服大学生の力学 M 阪大編入試験に適度なレベルの問題が網羅されている。
演習力学 (セミナーライブラリ物理学 (2)) H 難易度のばらつきが多いため、解くべき問題が見つけづらい。上記の力学の理解を深める上では役立つだろう。
スバラシク実力がつくと評判の電磁気学キャンパス・ゼミ―大学の物理がこんなに分かる!単位なんて楽に取れる! M 少し説明は冗長に感じたが、要点や重要問題が押さえられている。
スバラシク実力がつくと評判の演習電磁気学キャンパス・ゼミ M 上記の本の演習書であるが、説明や問題には重複がある。難しい問題に取り組む時間がなく、ベクトルポテンシャルや電磁波の演習のため、本書を利用した。
電磁気学演習 (理工基礎 物理学演習ライブラリ) H 誘電体と交流回路(特にインピーダンス)の演習と理解を深めるため、本書を利用した。
熱力学 (講談社基礎物理学シリーズ) H ポイントを押さえた良問があるが、専門書のためやや込み入った解説もあり、度々迷子になった。編入試験においては、もう少し入門向きの書籍で良いかもしれない。
振動と波動 ―身近な普遍的現象を理解するために― (フロー式 物理演習シリーズ 6) M 演習としては不十分だと思われるが、基本事項がまとめられており、入門書として勉強範囲を把握する上では、手をつけやすい。
振動・波動入門 (新物理学ライブラリ (5)) H 編入試験に必要なレベルだと思われるが、私は十分な演習時間を確保できなかった。本年は振動・波動が出題されたため、本書にもう少し時間をかけて取り組むべきであった。
■英語

1年目は、時間がなかったことから、数問の過去問演習のみで阪大試験に臨んだ。例年のごとく試験問題の分量が少なかったことから、それが大きく足を引っ張ることはなかった。しかし、生命科学の中で英語論文の出題があり、生命科学の英語の勉強をしていなかったボロが出て、ほとんど解答できなかった。
2年目は、複数大学を受けることもあって、1年目より時間を意識的に掛けた。具体的には、下記2つの英単語集の暗記と、時間制限を設けた過去問の演習である。これらが功を奏し、いずれの大学においても英語での点数の取りこぼしを防ぐことができた。
私は下記教材の全単語を覚え切る時間を取れなかったが、下記程度は全てカバーする必要があると思われる。また、過去問は解答がないが演習のレベルとしては適度であり、下手に英文を探してくるよりかは、効果的だと思われる。

使用した教材 レベル 推奨度 コメント
医学部編入への英語演習 (KS生命科学専門書) 後ろの英単語集のみ利用した。医学系英単語の暗記は編入試験に必須である。
KALS教材に付属する英単語帳 時間が足りず、頭の1割程度しか暗記できなかったが、適度なレベルの単語がまとまっており、有用だと思われる。
各大学の過去問 KALSで入手した過去問に時間制限を設けて解いた。解答はないが問題文のレベルが適切かつ試験の傾向も掴めるため推奨する。
■数学

数学は、東京医科歯科大学で出題される。また大阪大学の物理・化学のベースとしても、微積の基本と微分方程式、線形代数の知識は前提として必要だと思われる。
1年目は、ほぼ勉強せずに阪大に臨んだため、ベーシックな微分方程式を解くことできず時間を大幅ロスしてしまった。2年目は微積・線形代数の基本を押さえて臨んだため、不安なく物理・化学の演習に臨むことができた。

使用した教材 レベル 推奨度 コメント
Key Point & Seminar 工学基礎 微分方程式 H 大学時代の教科書のため、本書を利用した。前半のみ(常微分方程式、演算子法、ラプラス変換)が必須の範囲だと思われる。級数解、境界値問題、フーリエ変換等も出題されない可能性がないとは言えない。
KALS ハイレベル数学微積分 M 過去問入手のために、本コースを受講したが、費用対効果は微妙。テイラーの定理や接平面、重積分など、学習すべき範囲を確認する上で役に立った。
やさしく学べる線形代数 L 入門書であり基本的な操作等の確認に利用した。大学で履修している人はその参考書で要点を見返す程度で十分であろう。
Web検索 線形台数において必要な知識は限られるため、ネットで行列式や逆行列、固有値・固有ベクトル、トレース等の出し方を把握しておけば、阪大・医科歯科には十分だと思われる。
■小論文

受験した中では、大阪大学のみで小論の出題があった。小論・面接で逆転できるほどの点数差はつかないが、ある程度時事とその周辺施策の動向の把握は必要である。1年目は薬の開発について、2年目は予防医療についてであったが、薬事についてはベースの知識がないと、書くことがなくなるため、多少点数差が生まれたのではないかと思われる。

小論対策におすすめの本やウェブサイト コメント
医と人間 (岩波新書)  阪大で過去の小論文に引用された書籍。複数の旬なテーマについて、有識者から示唆に富む意見が整理されているため、一読の価値あり。
未病革命2030 予防医療へのICT活用に関する対談本。今後ICTに関連する小論テーマは増えると思われるため、本書のネタを薀蓄をしたためておけば大いに役立つ。個人的に予防医療のための各企業の取り組み事例は大変勉強になった。
臨床研究イノベーション 阪大で過去の小論文に引用された書籍。専門外の人にもわかるように臨床研究の課題と対策がわかりやすく整理されて記載されており、推奨する。
なぜエラーが医療事故を減らすのか 阪大で過去の小論文に引用された書籍。あまり時間をかけずに目を通した。
小論文の完全ネタ本 キーワード集「医歯薬系/看護・医療系」編 (大学入試) 小論文の基本的なテーマと解答の仕方を学ぶため、本書を利用した。出題例と解答例が多岐に渡るため、役に立った。
病院崩壊 近年の医療問題の動向とそれに関連する数字を押さえるために本書を参照した。
日本の名医30人の肖像 どのような医師になりたいかというお題への対策とモチベーション維持のため、本書を読んだ。医師の活躍はビジネスの世界に比べると埋もれており、多くの名医の尽力の上に現代の医療が成り立っているのだと感じさせる内容であった。

4. 面接

以下に各大学の面接で聞かれたことを列挙する。いずれの大学でも圧迫や落とし穴もなく、終始温和な雰囲気で面接を進めることができた。他の受験者の話を聞いても、同様に無難に終わったとの意見であり、よほど変わり者を除いて、基本的な受け答えを用意していれば、あまり差は付かないと思われる。
なお、2017年阪大では、幸運にも面接で満点を頂いた。受け答え内容を参考にしたい方はこちらの記事を参照ください。(2020年12月追記)

  • 大阪大学(2016年)
    面接官3人で20分程。温和な雰囲気で質問される方と、冷静で論理的に指摘を入れる方がいらっしゃり、役割分担されていたかのように映った。

    • なぜ阪大医学部を志望したか。
    • これまでの経験や専門をどのように活かせるか。自分の興味ある分野にどう役立つか。
    • チームと一人どっちが好きか。
    • チームに苦手な人がいたらどうするか。
    • 大学でどのような研究をしたか。その研究の新規性は何か。
    • AIは医療者を取って代わると思うか。
  • 大阪大学(2017年)
    面接官3人で20分程。志望動機の論理の一貫性のなさを指摘され、うまく回答することができずに終わったが、その他の質問については特に変な反応はなく面接を終えた。他大学に比べひねった質問はなく終始穏やかな雰囲気で進んだ。

    • なぜ阪大医学部を志望したか。
    • 大学に入ってどういう道に進みたいと考えているか。
    • これまで携わってきたAIは、その分野に対してどのように役立てると思うか。
    • 志望理由書の内容について、テキストマイニングとは具体的にどのようなことをやったのか。
    • 仕事の中でやり甲斐を感じた例を教えてほしい。
    • 仕事はチームでやっているか。
    • チームメンバーの理解が得られないときにどうするか。
    • 大学でどのような研究を行ったか。
    • 会社を退職したのは、受験のためか。
  • 鹿児島大学(2017年)
    • 後日追記。
  • 岡山大学(2017年)
    面接官3人で20分程。

    • 1分で医学を志した理由の説明。どのようなタイミングでどのような思いで選択してきたのかを詳しく聞かれる。
    • 大学で勉強した専門について、生命科学の履修がないことを不安要素として見られる。
    • お客さんと接する仕事か。医者として患者さんとコミュニケーションをとることは大事である。
    • design gene? 生まれてくる子供の外見や性格まで含めて、選べるようになることにあなたは賛成か反対か?
    • 疾患を遺伝子を見つける上でどのようにすれば、より有用性をあげることができるか
    • 今の会社ではどのような仕事を?
    • 文科省で作成された中学高校で身につけるべき3つのことのそれぞれを紙で提示された上で、
      1. 知識・専門性:これまでに得た知識・専門性をどのように生かすことができるか
      2. 思考力・判断力を使って課題を解決すること力:そのような実例はあるか
      3. 協働する力:どのような人とどのように協働していきたいか
  • 東京医科歯科大学(2017年)
    • 1. 集団面接①
      新しい薬剤の費用が高くなっている中、費用対効果を明確化する取り組みが勧められている新聞記事を事前に渡される。お題は、この内容を受けて、広く受け入れられる医療のあり方について、自由に議論せよ。
    • 2. 集団面接②
      各自大学時代の研究等の取り組み内容のプレゼン。社会人の内容でも良いが、大学時代の取り組みは入れる必要あり。
    • 3. 個人面接
      ・あなたの強みはなんですか。
      ・ずっと機械を相手にしてきたところから、人を相手にすることに変わる。その上での弱みや課題は何だと思うか。
      ・大学の研究テーマはどのように決まったのか。
      ・30歳前後という一番活躍するときに、学生に戻ることに問題はないか。

5. 試験を終えての感想

試験を終えた率直な感想として、編入試験は相変わらず不条理な制度だと感じた。というのも、試験範囲が明確に定められていない上、出題分野も難易度も何の前触れもなく毎年変わり、試験日程により受験者の層の厚みも合格者数も変化する。要は、一般入試に比べ、運の要素が大きく、どんなに勉強しても確実な合格ラインに辿り着きにくい。
例えば、鹿児島大学は毎年組織学が出題され、今年も必要だと某予備校で言われていながら出題されなかった。また大阪大学は毎年合格者数が減り続けていたと思えば、急に合格枠MAXで合格者が出た。化学・生物は問題の難易度が例年になく下がり、点数底上げが目的かのような超基礎的な問題が複数題出題された。編入試験は、全てを押さえきれない膨大な試験範囲でありながら、何が出題されるかわからないため、一度解いたことがあるかそうでないかに左右される。
このように、医学部編入試験を狙うのであれば、別の記事にまとめているように、受験戦略的に強みを生かせる人が、短期集中的に取り組むべきだと思われる。
もちろん、そうでなくとも私の想像を超える努力で合格を勝ち取る人も多くいるのは事実である。また、長い医学部生活の1年間が短縮され、かつ半年先の入学の保証をもらえるのは、おいしいことに違いない。そのため、これから受験を検討される方は、そのような先の見えない試験であること、絶対的な合格はないこと、を前提に取り組んでいかなければならない。それを避けたいのであれば、あまり編入試験にこだわりすぎず、一般入試での入学を検討するべきである、と改めて感じた。
■大阪大学
受験者数が約130-150人でありながら、受験者の層はそこまで厚くないと思われる。1年目に大きく点を取り損ね、確実に落ちたと思ったにも関わらず、1次試験に合格していた。つまり、他の大学の編入試験の勉強を優先し、あわよくばと記念受験している人、そこまで短期集中的に勉強せずに毎年受け続けている人、とりあえず様子見に受験する人など、本当にライバルとなる母数は少ないようである。しかし、阪大は2次試験の配分がそこまで大きくないことと、公平で開示可能な点数性のため、1次試験の差を2次で挽回するのは容易でない。そのため、いかに1次、つまり物理・化学で点を稼ぐかが鍵となってくる。
■岡山大学
1次試験が書類審査でありながら、一律3万円の受験費用がかかってしまうのが、気になるところである。逆に書類通過に自信があれば、2次試験で同日に筆記と面接を実施してくれるのはありがたい。
試験について出題内容がふわっとしており、漠然と「○○について知るところを書け。」のような出題が散見される。出題内容のレベルからもあまり差がつきにくい出題であり、勉強量が合格の確度に繋がりにくい試験のように思われた。他の受験者にも、筆記に自信があったのに落ちていた、といった声があった。
■鹿児島大学
年々英語の比重が重くなってきており、英語が得意な人には狙い目の大学だと思われる。合格者数が10名と多く、試験日程も早い、問題のレベルも平均的といったことから、予行演習として受ける人も多い模様。
■東京医科歯科大学
TOEFLが出願条件となっているため、受験者数が少ない。その上、物理・化学・数学は阪大ほど専門的な出題レベルでなく、大学初歩レベルの基礎知識が問われるため、比較的取り組みやすい。そういった意味では、意外と狙い目な大学と思われる。現に今年は合格枠5名に対して、1次試験は40名強の受験者であり、約半分の20名が1次試験を通過していた。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA